論文「朱印船時代における「日本前」船と南シナ海の造船事情」、共著『角倉一族とその時代』(森洋久編)、思文閣出版、2015年7月1日刊、pp.401-436、所載

 

16世紀末から17世紀初めの桃山・江戸期において、角倉船など朱印船はどう調達されたのか。西川如見「ミスツイス造りの船」を和船造船史の石井謙治氏は「日本前型」と呼ぶことを提案し、それはシャム船に西欧型がミックスしたものだとした。論者(金子務)は近年マレーシア、中国沿岸などで急速に進む沈没船調査を主とする海洋考古学の知見をふまえながら、南シナ海ハイブリッド船(ジョング)が中国ジャンク船とかなり異なることを指摘して、朱印船系「日本前」型は、南シナ海ジョング型+中国南部ジャンク型→南シナ海中国系ハイブリッド系(シャム船が含まれる)+西欧ガレオン系、となり、そこから生まれてきた型であることを明らかにした。あわせて造船費用、角倉船図の詳細を論じた。